ヴィンテージ顔負けのつくり込みとモダンデザインを地で行くブラームス ルーツストックをフィーチャーした、期間限定の古着店がオープン。今回はルーツあるものづくりと、新しい古着観のお話。
昔の強引につくられてるところが多分、みんなの心に響いてて。
―いきなりですけど、南さんが“ブラームスと一緒に古着屋さんをやろうとしている”と小耳に挟みまして。
南貴之(以下南):うん。とりあえず16日間限定で。
ーなぜまた急に?
南:ブラームス ルーツストックって、基本的にベースとなる服があってつくられてると思うんだけど、それを何かおもしろい形で見せられないかなと思って。
展示会で見ながら「あぁ、これも古着をネタにしつつ、よくできてるよなぁ」とか、いつも思ってたからさ。これ、どっちが新品でどっちが古着なのか、もうわかんないんじゃね? って。
―それを聞いて、村上さんは?
村上圭吾(以下村上):「おもしろいですね」と即答で。
今回のアイデアは今まで考えていないことだったので新鮮でした。「古着屋みたいな感じで吊るしてやろうよ」とか言っていましたよね? ああいうのもやったことないので
南:デニムとかももう、縦に積んでね。でも、その横に積んであるのは古いリーバイス®だったり。なんかガチの古着かのように積んで置いてあるものが実は新品だとか、おもしろくない? って。
まぁ、僕がおもしろいだけでお客さんがどう思うのかは分からないけど。
―それこそ“南のフレッシュなこと”なんですね。実際にそこに並ぶブラームス ルーツストックのアイテムについても教えてください。
C/N Oxford 43 Jacket
PRICE:¥58,300
COLOR:DARK OLIVE
SIZE:3/4
村上:全部で5型あるんですけど、例えばこれは(M-)43ジャケット。
襟の形を変えたり、フラップの形も元は少しくびれが強くて攻めすぎてる感じがするので、自分の中で現代的になるように構築しています。シルエットは(オリジナルとは)全然違うんですけど。
南:このジャケット、今回出す古着にもあった気がする。
村上:多分、そこにありましたね。…うん、やっぱり43だ。
南:これは?
C/N Oxford Snow Pants
¥42,900
COLOR:DARK OLIVE
SIZE:3/4
村上:これは元々スノーパンツです。本来はコットンナイロンでできてるんですけど、一応、ヴィンテージを分解して、本数とかも確認してみて。
―“本数”っていうのは?
村上:生地の打ち込みのことですね。でも、実際その通りにつくってみようとすると、現代の糸だとちょっと難しかったりするんです。
南:へー。なるほど。
村上:キレイすぎるっていうのかな。
南:糸が良すぎるってこと?
村上:そうですね。これは機械だったりもそうなんですけど、今は技術が上がりすぎていて、昔の機械だと少し強引につくられてるところもあって、糸もキレイに揃ってなかったりするんですけど、それが多分、みんなの心に響いていると思います。
40年代ぐらいのものなんかは特に好きで。それをいまつくろうと思えばやれないことはないと思いますが、あんまり現実味が無くて。混率を気にしながらできるだけ近い質感で、少しだけキレイに見える、ギリギリのところでつくってます。
Cotton Serge 47 Pants
¥47,300
COLOR:OLIVE
SIZE:3/4
南:これはフランス軍の?
村上:そうです。(M-)47パンツですね。
―オリジナル、今はすごい値段になってきちゃいましたよね。
村上:ですね。デッド(ストック)だと数万円とか。昔はUSEDで数千円ぐらいでした。
南:ちょっと前に一回流行ったよね。次はチノか。
2046D Chino Pants
¥36,300
COLOR:BEIGE
SIZE:3/4
村上:はい。これは同じ米軍のものでもメジャーな43(カーキ)とかじゃなく、MILT-T2046Dというモデルが元になっています。(商品名はディテールがいろいろミックスされているので2046にしています。ややこしいですが。)
43だとガスフラップがついてるんですけど、付いていないとか、フロントポケットのカーブが無いとか、そのくらいのディテールが今はちょうどいいと思っています。
南:あるんだよね、そういうのが。
村上:あとは、これに5ポケットのデニムを加えたのが今回の5型です。
南:グラフペーパーでもそうなんだけど、俺がやる場合って結構、ベースから抜くっていうか、取り除く作業が多くて。
でも村上くんの場合は結構ベースに忠実につくりつつ、少し現代的なシルエットだったり、そういうところでエッセンスを入れてくるよね。だから古着と一緒に置いてあったらおもしろいのかなと思ったんだけど。
俺らは別にレプリカが欲しいんじゃないから。
―村上さんの中でその元をイジるイジらないの線引きってどういう風にされてるんですか?
南:確かに。それ、俺も聞いてみたかった。
村上:ルーツストックっていうラインについては割と、ベースがわかるようにつくってます。
さっきのジャケットでもそうなんですけど、「あ、43だな」って少しわかるように。でも、単純に自分が着たときに気持ち良いかどうかが大事で。あとはものづくりの先人たちへのリスペクトの部分で、ここは多分こうしたかったから、こうなんだろうなと、勝手に想像しながら、そのディテールを落とし込んだり。
南:なるほどね。
村上:あとはよくやるのが、古着ってよく前期・後期とかがあるじゃないですか。その間に移行期があったんじゃないかと、想像したり。
南:中期があったらこうかな? みたいなことね。
村上:はい。第1、第2、第3があったら2.5とか、そういう感覚でやることは多いかもしれないです。
本当にヴィンテージが好きな人からしたら「何やっちゃってんの?」ってなるとは思うんですけど。できるだけ忠実に作ることもできるのですが。
南:でも、それやっちゃうとね。俺らは別にレプリカが欲しいんじゃないから。
それはもうファッションじゃないと思うし、だったら古着を探して買うかな。本物で自分にぴったりのものが出てきたら、それを買えばいいんじゃない? と思うけど。
―そういえば南さんってたくさん古着を持ってるのにあんまり着てるところ、見ないですね。
南:俺は元々着ないから。匂いとかも嫌だし。
村上:(笑)。
―それなのにあんなにたくさん持ってるんですね(笑)。やっぱりインスピレーション源として手元に置いてるんですか?
南:うん。元を知らずに崩すくらいダサいことって無いかなと思って。それっぽいだけで表面を似せた服をつくってもさ。
村上:僕も基本、南さんと同じ意見ですけど、逆掘りもあるじゃないですか。新品で知って、古着の方に行ったりとか。そうやって服が好きになってくのがおもしろいかなと。
南:そうそう。そこで初めて知って、着てみたらサイズも良いから買ってみようでいいと思う。俺がアーカイブとして個人的に買ってた古着ももうだいぶ多くなってきたし、事務所に置ききれなくてスタッフも嫌がってるからちょうどいいかなって。
村上:(笑)
―ちなみにこの企画は今後もやっていく予定なんですか?
南:うん。実は次ももう夏用に別のテーマでやろうってなってて。
村上:自分からするとこういう企画はすごいありがたくて。古着と自分の服が並ぶっていうのが、すごく嬉しいです。
それなら古着屋さんに卸せば? ってなるんですけど、今、それは少し違う気がしますし、古着屋さん側からも違うと言われると思います。
別に棲み分けしてるわけじゃなく感覚的な問題ですが、それをちょうどいいところで考えてもらえるのが南さんなので。
南:俺もモノをつくる側の視点で古着を選んでて、着る視点で選ばれてないからおもしろいのかもね。ぶっちゃけ価値があるのか無いのか、わかってないものも多いから。俺は。
―そういう意味では、掘り出し物もあるかもしれませんね。
村上:初日に行ったら、値段をミスしている古着があるかもしれませんね(笑)。これ(US.ARMYのデニムプルオーバーシャツ)とか、いまもう凄く高いですよね。
南:その辺は買ったときからもう結構高かったけどね。
村上:フレンチワークジャケットのモールスキンの大きいサイズとか、自分でも欲しいものもいっぱいあります。南さん、最近ウチ、引っ越したんですよ。
南:? うん、知ってるよ。
村上:この辺の古着、引っ越し祝いにどうですか?
南:(笑)。
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プロフィール
村上圭吾
blurhms / blurhmsROOTSTOCK デザイナー
工場、生地、販売、生産など一通りのアパレルの業務を経験した後、2011年に「blurhms(ブラームス)」設立。 2015年にはよりオーセンティックなアイテムを展開するライン、blurhmsROOTSTOCK(ブラームス ルーツストック)を立ち上げている。
【The blurhmsROOTSTOCK】
会期:2024年2月10日(土)〜2月25日(日)
会場:FreshService Headquarters
営業時間:12:00~19:00
定休日:毎週水曜
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